2014年8月16日土曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 =E=


=== E ===

Enervate(エネルベート)「活きよ」:
失神した者の意識を回復させることができる。反対呪文は「ステューピファイ」。

Enervateは,不詳.
奇妙な言葉です.英語のenervateは「(人)から気力を奪う;(人)の力を弱める」という意味ですが,語源のラテン語でも,もちろん同じ意味.
どこでひっくり返っちまったんでしょうね.


Erecto(エレクト)「立て」:
対象を立たせる。第7巻でハーマイオニーが使用。

ラテン語の「立ちあげる;直立させる」はerigo.
この形容詞がerectus.直立猿人(Homo erectus)のerectusですね.これはもちろん,英語のerectの語源.
たぶん,このあたりから造語したものでしょう.


Evanesco(エバネスコ)「消えよ」:
物を消す。スネイプは「魔法薬学」の授業で、学生が失敗した魔法薬を消す為にこの呪文を多用していた。

Evanescoは,evanescoというラテン語.ただし,発音は「エー・ウァーネスコ」が近い.
意味はもちろん,「消える;去る」です.


Everte Statum(エヴァーテ・スタティム)「宙を踊れ」:
『秘密の部屋』で登場。決闘クラブでドラコがハリーに対して使用し、ハリーを吹き飛ばした。

Everteは,たぶんラテン語のeverto.
意味は「取り除く;排出する」.「宙を踊れ」は意訳でしょう.


Expecto patronum(エクスペクト・パトローナム)「守護霊よ来たれ」:
「守護霊の呪文」。守護霊を創り出す。守護霊は銀白色で半透明。形状は術者によって異なり、基本的には実在の動物だが、魔法生物になる者もいる。守護霊を出現させることで吸魂鬼を追い払うことができるほか、熟練者になると守護霊に伝言を託すことも可能。守護霊を創り出すためには幸福なことを思い浮かべる必要がある。そのため術者の精神状態や人間関係に影響されやすく、守護霊の形状が変化することもある。なお、ヴォルデモート及び死喰い人は、守護霊を出さないスネイプを除く。

Expecto は,ラテン語のexpecto.
意味は「期待する;予測する;希望する」など.
patronum は,ラテン語のpatronusもしくはpatrona.
意味はどちらも「守護者」で前者が男性形.後者が女性形です.
この呪文が,映画を見ていて「ん?ラテン語形の言葉かな?」と思った最初のもの.
今は死語になっちまいましたが,フイルムカメラのパトローネ(Patrone)はこれが語源ですね.日本にはドイツ語経由で入ってきましたからね.英語では(film) cartridge.アメリカ製のカメラなんて,使い物になりませんでしたからね.


Expelliarmus(エクスペリアームス)「武器よ去れ」:
「武装解除術」。紅の閃光を放ち、対象の持つ武器を強制的に吹き飛ばす。術者の力量次第では、武器を持つ人間も同時に吹き飛ばして気絶させたり、吹き飛ばした武器を自分の手元に来させ、自分のものにすることができる。ハリーが得意とする呪文のひとつ。第2巻ではセブルス・スネイプが「エクスペリアームズ」と唱えている文庫版では修正されている。映画では作品によって術の表現が変わっている。

Expelliarmusは,たぶんexpelli-armusという合成語.
ただし,ラテン語のarmusは「肩,肩甲骨」の意味で,「武器」の意味は無いようです.こちらはギリシャ語ἁρμός=「肩」が語源.
武器の意味を持つラテン語はarma.これが,armusに変化するという例は無いようです.

Expulso(エクスパルソ)「爆破」:
対象を爆破する。第7巻でアントニン・ドロホフが使用。

ラテン語のexpulso は「放逐する,除名する,免職する;排出する,駆除する;(弾丸などを)発射する」などの意味.「爆破」というよりは「あっちへ行ってしまえ」というような意味でしょうか.

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