2011年3月30日水曜日

炭田と炭山

 
 前の記事「小樽で」の中で,「炭田」と「炭山」を使い分けています.

 国語辞典などでは,解説を読んでもあまり違いがわかりませんが,一応違いを示しておきましょう.

 「炭田」は地質学用語ではありません.
 「鉱山学用語」としては,使用可かもしれません.なぜなら,「炭田」には経済的な意味があるからです.地層中にはしばしば,石炭層が含まれていますが,必ずしも企業化できるものとは限りません.「炭田」と呼ぶには,企業化ができるほど,経済価値のある石炭層が存在していなければ,ならないわけです.

 さて,「炭山」も地質学用語ではありません.
 「鉱山学用語」としても,使用はしないでしょう.炭山は単に“石炭のある山”ではなく,石炭を掘り出し,消費地に送り出すシステムであり,そこに働く労働者や,その家族まで含めた一つの完結したシステムのことです.
 この“山”は江戸時代の初めにはすでに成立しています.多くは金属鉱山として.普通に歴史でいう士農工商などとは別の特殊な存在として認められていたようです.

 非常におおざっぱですが,そういう使い分けをしています.
 

0 件のコメント: