2010年5月4日火曜日

「科学の真実」もしくは「科学者のいう真実」

 
先日,高校時代の恩師から電話がありました.

なんでも,現在もボランティアで科学知識に関する講演活動をしているそうです.
もう退職してからも,相当経っているはずなのに,大変なものだと思います.

いろいろと話したのですが,その中で気になることがあったので,一つ.

地球の年齢や宇宙の年齢がどんどん変わるのはどういうわけか」というもの.
もちろん,先生は高校の理科の教師だったので,一通りのことは理解しているはずなので,「科学の進歩の成果」というような,ありきたりの答え求めているわけではないと思います.先生がボランティアで講演していると,たぶん,聴衆からそういう質問が出るのだろうと思う.しかも,その質問者も比較的,科学的知識が豊富な層なのだろうと思う.

一番の原因は,マスコミに登場する科学者の無責任な発言にあると思います.

科学者が話をする時には,「これが真実」,「私のいうことが真実」という立場でおこなう.
しかし,これは「ウソ」です.

より正確にいうならば,「現在までの観察からは,こう考えるのが一番,楽」ぐらいでしょう.「こうとしか考えられない」といういい方をしたら,もうこれはだいぶ怪しい.

長く生きていると,しばしばこういうことに出会います.
私は,恥ずかしながら,大学院時代が長かったので,大学生協の食堂にずいぶんお世話になりました.

食堂の食卓には,栄養士からの通信などが置かれています.
私が学生のころは,「単品食いはよくありません」,「サラダや果物を一品追加しましょう」などとか,「栄養はバランス良く」ということで,あれも食え,これも食え,などと書かれているのが普通でした.
理想の地質屋体形(身長高め,若干太り気味)だった私は,「そんなに食べたら,栄養過多じゃん」と思いながらも,栄養士の薦める「定食」を食べるのが普通でした.

長くいると,しばしばそんなことに出会います.
ある日突然,栄養士からの通信は,「食べ過ぎに注意しましょう」に変わりました.たぶん,以来,ずーっとそうなってると思います.

最近だと「無理なダイエットはやめましょう」とか,書いてありますかね.
これは,身近な例.


長く生きていると,しばしばそんなことに出会います.
私が,高校生のころは,「地球は寒冷化している」と騒がれました.
気象学者の書いた「氷河期がやってくる」というような本がベストセラーになったこともあると記憶します.

それから,40年ばかし経ちましたが,現在では「地球は温暖化している」と騒いでます.
「温暖化」どころか,“人類の生き残りも怪しい”とまでいわれてます.
私の記憶違いでなければ,40年の間に氷河期はなかったと思います.
冷害で外米を強制的に食わされた記憶はありますから,もしかしたら,あれが気象学者のいう「氷河期」だったのですかね.
してみると,「地質屋」のいう「氷河期」と気象学者のいう「氷河期」とは,別のものですね.
別な意味では,政治家の無能のせいで,現在は「就職氷河期」ですけどね(政治家にも「就職氷河期」を起こすために「議員半数化法」&「議員報酬半額化法」でもつくって欲しいですね.もちろん,議員年金も廃止).


閑話休題.
科学者は,いつだって,「現在の観測値からは…,こう考えるのが妥当だ」ぐらいのことしかいえないはずです.
しかし,特にマスコミに登場するような“科学者”は,なぜか「絶対の真実」を語り,マスコミと組んではパニックを煽り立てます.
結果,恐れおののく一般市民も多数出ますが,それよりも,一般市民には,科学を支持する人たちが,どんどん減ってゆきます.経験豊富な市民であるほど.


過去,私が住んでいた「地質学」の世界にも,そんなことがありました.
現在,「プレートテクトニクスは観測された事実」(元,地質学会会長やら東大教授やらがそういってました.ま,たぶん,口を滑らせたんでしょうけど,ホントにそう思ってるとしたら,救いようがない)なんだそうですが,“PT革命”を経験した私には,「冗談だろ」としか思えません.

「プレートテクトニクスでは,地向斜造山論では説明できなかった現象が説明できる」とか「プレートテクトニクスの方が地向斜造山論より,地球上で観察できる(無限に近い)自然現象の多くを説明できる」ぐらいなら,わかりますけどね.

PT論者の得意な「パラダイム論」を使えば…,PT論では説明できない事象は無視されますが,やがて,PT論では説明できない事象が無視できなくなるほど増え,PT論は修正を必要とされるようになります.
やがてそれも不可能になり,まったく別なパラダイムが登場する筈です.

蛇足しておけば,私は「地向斜造山運動論者」ではありません.
日本では,大学もしくは公立研究機関に勤めているものしか“科学者”とは呼びませんので,私は科学者ですらない.(博物館の学芸員でも,国立・都道府県立および政令都市級の博物館の学芸員は“科学者”ですが,市町村立の博物館の学芸員は“科学者”ではありません.ウソだと思う人は,科研費受給資格や日本育英会(現,日本学生支援機構?)の奨学金返還免除規定を調べればわかります.)
だから,私には,科学者の愚行に関する責任は一切ありません.悪しからず.


科学者が,自らの云うことが「真実である」と云えば云うほど,市民が科学者のパラダイム転換を経験すればするほど,当然,市民は科学離れしてゆくことになります.


え?
まだ,ほかに原因があるって?
科学者が,市民の側に立っているか,権力者の側に立ってるのか,それが信用されない原因だ?
うーむ,正しいような気がする.

なお,最初の問題「地球の年齢や宇宙の年齢がどんどん変わるのはどういうわけか」に関しては,稿を改めて.
 

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