2010年2月14日日曜日

Avipes の展開

 
 学名辞典(恐竜編)いじり(その3)です.

 Avipes Huene, 1932 という恐龍がいます.
 模式種はAvipes dillstedtianus Huene, 1932.
 

 Avipesは[avi]+[pes]の合成語です.
 aviは《ラ語》「avis(アウィス)《女》avis, avis」の 語根で「鳥の」という意味.元は《サンスクリット語》らしい(つまり,《ギ語》ではない)ですが,サンスクリット語まではフォローできないので,悪しからず.

 pes (ペース)も《ラ語》で「《男》pes, pedis」=「足」.こちらも元は《サンスクリット語》らしいですね.

 合わせて,この属名は「鳥の足」という意味.もちろん,「鳥の足」に似ているという指摘でしょう.「『恐龍』と『鳥』は非常に近い関係にある」という指摘は,最近始まったモンではないことが,よくわかる学名です.


 種名dillstedtianusは,dillstedt-ianusという合成語です.
 Dillstedtは,ドイツのチューリンゲン[Thueringen]地方にある地名らしいです.もちろん,この化石の産地なのでしょう.-ianusは《場所》《時》《人名》《国民》《固有名詞》につけて《形容詞化》する《接尾辞》です.合わせて,「Dillstedt産の」という意味.伝統どおりの《形容詞形》の種名です.

 「属名」+「種名」で,「Dillstedt産の『鳥の足』」.属名と種名を合わせる場合は,「属名」は訳さない方が自然ですね.従って,「Dillstedt産のAvipes」.
 これは,典型的な学名の形式で,聞いただけで重要な情報を提供してくれます.「佐藤さんの『蝦夷龍』(Yezosaurus satoi:でっち上げの学名です(^^;)」なんて学名は,いかにセンスがないか,理解できると思います.

 ところで,「Dillstedt産のAvipes」以外に,別の産地から「Avipes」が出たという話は未見です.それもそのはず,どうやら,標本は名前どおりに足の部分しか産出していない模様.現在のように,恐龍化石の標本が充実してくると,この程度の標本は間違いなく「nomen dubium」(=疑わしい名前)として扱われるようになっています.
 もちろん,現在では足の一部の化石で,「属-種」を定義することは不可能というのが常識です.


 記載者のHueneについては,「Halticosaurus の展開」を参照してください.

 

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