2009年10月23日金曜日

人気者

 
 最近,TVが面白くなくなった.

 どのチャンネルを見ても,似たような顔ぶれで,似たような番組をやっている.
 とくに思うのが,なんで「こんなやつがTVに出てんだ」というタレントがものすごく多い.“不快キャラ”だと思うけど,世の中全体ではそう思われてはいないらしい.好感度No. 1だったりする.

 「人気があるんだから,しょうがないじゃあない」といわれる.
 「こんなやつが人気があるの?」と聞くと,「人気があるから,TVに出てるんじゃあない」といわれる.

 私は「ひねくれ者」だから,そうは思わない.
 「人気があるから,TVに出てる」んではなくて,「TVに出てるから,人気がある」んだろうと思う.
 「TVCMでやってるから買ってみる人」はたくさんいるが,ある日フラリと立ち寄った小さなお店で,ものすごくおいしい料理を出していたからといって,「なぜこれをTVで宣伝しない」という人はいない.

 「いいから(TVに)でる」わけじゃあない.
 お金払って,TVに出しているから,TVに出ているのだ.

 一方で,ものすごく有能なタレントが,「一発屋」というレッテルを貼られて,面白いのにもかかわらず,中央からほど遠い我々地方人の目の前に姿を現すことがなくなる(中央では,あちこちに小さなライブハウスがあるそうだ).
 この間,(島田)紳助が,ある番組で言っていた.
 「一発屋」というレッテルを貼られた芸人にたいして,TV局の廊下ですれ違ったプロデューサーがこういう.「久しぶりだなあ.どうしてる?」
 紳助が突っ込む.「おまえが使わんからじゃ」

 たくさんの有能なタレントが,スポンサーやプロデューサーの「好み」だけで,日陰者になっているそうだ.人気がないから出られないのじゃあなくて,単にTV界の「大ボス」・「小ボス」の「好み」でそうなっているのだ.

 そういう目でみると,紳助の番組では,「一発屋」と呼ばれて,TV界から姿を消しているタレントが,意図的に使われている(忍び込まされている)ことに気付く(紳助は,けっこうイイヤツなんだな).

 日ハムが北海道に来るまでは,北海道にはジャイアンツ・フアンとアンチ・ジャイアンツ・フアンしかいなかった.しょうがないだろ.TVじゃあ,ジャイアンツ戦しかやらないんだから.
 野球フアンじゃあなくて,ジャイアンツ・フアンだったんだな.昔は.
 
 「ニュース番組」という「バラエティ」で,一般市民を装った人たちが,報道プロデューサーに都合のいい意見を述べている.しばしば,時の政府に都合のいい意見だったりする.何回も繰り返される.立ち止まって考えようという意見はない.
 「消費税」の時も,「郵政民営化」の時もそうだった.
 TV番組でいってる意見を,(“人気があるから”)自分の意見にしてしまう人たちが,酷く多いのではないかと危惧する.

 こういう世界では,自分の頭でものを考える(あるいは考えようとする)人たちというのは,「一発屋」のレッテルを貼られて,表世界から姿を消してゆくのではないかとも疑ってみる.

 一月ぐらい入院して,新聞もTVも見ない生活をしてごらん.
 いかに世の中ゆがんでいるかということに気がつくよ.
 もっとも,病室にも,TVと新聞が陣取ってるけどね.
 

2009年10月21日水曜日

辞書の展開(19)

 
 つぎは熊小目[parvorder URSIDA Tedford, 1976]の姉妹群である鼬小目[parvorder MUSTELIDA Tedford, 1976]です.

 鼬小目は三つの科に別けられています.

parvorder MUSTELIDA Tedford, 1976(イタチ小目)
├ family MUSTELIDAE (Fischer, 1817) Swainson, 1835 (イタチ科)
├ family MEPHITIDAE Bonaparte, 1845(スカンク科)
└ family PROCYONIDAE (Gray, 1825) Bonaparte, 1850 (アライグマ科)

 いずれも,現生種が多く含まれているかですから,イメージはしやすいことでしょう.
 特にイタチ科は絶滅種(化石種)も含めると,実に巨大なグループで,大成功した仲間であることが実感できます.


●イタチ科[family MUSTELIDAE (Fischer, 1817) Swainson, 1835]
 イタチ科は絶滅グループも含めると,以下の6科(+1)に別けられています.

family MUSTELIDAE (Fischer, 1817) Swainson, 1835 (イタチ科)
├ MUSTELIDAE incertae sedis
├ subfamily LUTRINAE (Bonaparte, 1838) Baird, 1857(カワウソ亜科)
├ subfamily MUSTELINAE (Fischer, 1817) Gill, 1872(イタチ亜科)
├ subfamily †LEPTARCTINAE Gazin, 1936(レプタルクトゥス亜科)
├ subfamily MELLIVORINAE (Gray, 1865) Gill, 1872(メッリウォラ亜科;ラーテル亜科)
├ subfamily GULONINAE (Gray, 1825) Miller, 1912(クズリ亜科)
└ subfamily MELINAE (Bonaparte, 1838) Burmeister, 1850(アナグマ亜科)

 MUSTELIDAE incertae sedisは,ほかの6科を成立させるための“ゴミ捨て場”的存在.
 たぶん,ほかの6科にはない,多様な特徴もしくは原始的な特徴を持っているのでしょう.ここに含められている Genus †Potamotherium Saint-Hilaire, 1833(後期漸新世~前期中新世のヨーロッパ,中新世の北米に生息)はカワウソ亜科の先祖形と考えられていたものです(Pickford, 2007).

・カワウソ亜科[subfamily LUTRINAE (Bonaparte, 1838) Baird, 1857]
 「獺・川獺(かわうそ)」は,もともと日本産のLutra lutra (Linnaeus, 1758)もしくはLutra lutra whiteleyi Gray, 1867あるいはLutra lutra nippon Imaizumi et Yoshiyuki, 1989を呼ぶ日本語の俗称でした.これら三亜種が,どういう関係にあるのかは,判断材料を持ち合わせていませんし,ほぼ絶滅したと考えられる現在あまり意味もありませんので,置いておきます.
 民俗学的な記載による「かわうそ」は,ほぼ妖怪といってよく,カワウソ類の愛らしい外見や行動,それらを見たときに起こすであろう日本人の感情から考えれば,“かわうそ”とLutra sp.とは本当に同じものか疑問を生じてしまいますが,縄文-弥生期の遺跡からはLutra lutra (Linnaeus, 1758)とされる遺体が産出していますので,過去にLutra sp.が生息していたのは事実のようです.

 それで,少なくとも一時期は,「カワウソ」は日本在来のLutra sp.を示す言葉であったはずですが,日本国内での絶滅を背景に,カワウソ類全体を表す言葉に変化してきているようです.
 ところで,カワウソ亜科は以下の三つの族(+1)に区分されていますが,tribe LUTRINIを「カワウソ族」と訳すのは,まあいいのですが,これに含まれている一種であるLontra felina (Molina, 1782)はカワウソとはいいながら,海域も生息域としていて,英名は「marine otter」.なぜこれが問題かというと,もっぱら海域に生息しているラッコ[sea otter]は,ラッコ族[tribe ENHYDRINI (Gray, 1825) Sokolov, 1973]として別の「族」を形成していると考えられているのです.ま,系統的に違うと考えられているので,生息域が海域か陸水域かは,あまり意味がありませんが.
 一方で,tribe AONYCHINI (Sokolov, 1973) Davis, 1978は適当な訳語がありません.原則からいえば,ツメナシカワウソ属[genus Aonyx Lesson, 1827]をtypeにしてますから“ツメナシカワウソ族”であるべきですが,“ツメナシカワウソ”は英名の「clawless otters」の直訳で,otter自体は“カワウソ”も“ラッコ”も含んでいますから,「~カワウソ」と訳すこと自体が不自然なのです.
 
subfamily LUTRINAE (Bonaparte, 1838) Baird, 1857 (カワウソ亜科)
├ LUTRINAE tribe incertae sedis
├ tribe LUTRINI (Bonaparte, 1838) Sokolov, 1973(カワウソ族)
├ tribe AONYCHINI (Sokolov, 1973) Davis, 1978(アオニュクス族)“ツメナシカワウソ”,“コツメカワウソ”
└ tribe ENHYDRINI (Gray, 1825) Sokolov, 1973(ラッコ族)

 これらは,みな,生息域の中心を陸上から水域に移したことによって成功したグループですね.胴長短足の愛らしい姿は,水中生活への適応を現しています.

・イタチ亜科[subfamily MUSTELINAE (Fischer, 1817) Gill, 1872]
 イタチの仲間は結構猛烈なファイターなんですが,その外見は「愛らしい」のが普通です.
 イタチというと,長めの胴体と短い足,立派な毛皮をイメージしますね.この特徴はラッコと同じ水中生活への適応だと思うんですが,そういう話には,まだ,であっていません.ひょっとして,私オリジナルの仮説?

 The taxonomiconの「イタチ亜科」は,記述が間違っているようで,理解ができません.
 tribe †ICTONYCHINIが絶滅グループとして扱われ,その他の属はすべて独立したグループとしておかれています.その中には,「ゾリラ[genus Ictonyx Kaup, 1835]」もありますから,矛盾していることは一目でわかります.理解不能ですので,略します.


・レプタルクトゥス亜科[subfamily †LEPTARCTINAE Gazin, 1936]
 レプタルクトゥス亜科は絶滅三属からなるグループ.情報があまりに少ないので省略.


・メッリウォラ亜科(ラーテル亜科)[subfamily MELLIVORINAE (Gray, 1865) Gill, 1872]
 このグループには10属あまりの化石種が知られていますが,現生種はMellivora capensis (Schreber, 1776)のみ.各属は並置しておかれており,系統関係はよくわからないらしい.亜科そのものは,イタチ科の中では,非常に原始的なグループのようです(Bininda-Emonds et al., 1999).
 ラーテル[Ratel]という呼び名は,南アフリカの所謂アフリカーンスらしい.
 以前は英名「honey badger」をそのまま和訳した「ミツアナグマ(蜜穴熊)」という和名が用いられていたようです.アナグマの仲間ではないので,「~アナグマ」という言葉を使わなくなったのはいい傾向ですね.現地語を使うというのは,さらにいい傾向と思います.しかし,採用するならネイティブ・アフリカンの言葉を使ってほしいものです.


・クズリ亜科[subfamily GULONINAE (Gray, 1825) Miller, 1912]
 「クズリ」はシベリア原住民の言葉らしい.これはいい傾向ですね.
 日本語では,これに「屈狸」という当て字をしています.英語では「ウルヴァリン[Wolverine]」.映画「X-MEN ZERO」の「ウルヴァリン」ですね.
 この亜科の現生種は「クズリ[Gulo gulo (Linnaeus, 1758)]」のみ.化石種も発見例が少なく,化石による類縁関係はよくわかりません.遺伝子の分析では,イタチよりはテンに近いグループで,テン類の祖先形とされているようです.

 ここで一つ疑問.
 「クズリ」は日本付近には生息していないのに,なぜ「屈狸」という当て字が必要だったのでしょうね.機会があったら,調べてみましょう.


・アナグマ亜科[subfamily MELINAE (Bonaparte, 1838) Burmeister, 1850]
 アナグマ亜科に属する化石は10を越える属が発見されています.
 ここで,現生種を含む属は以下の三つ.

├ genus Meles Brisson, 1762 (アナグマ:Old World badger)
├ genus Arctonyx F. G. Cuvier, 1825 (ブタアナグマ:hog badger)
└ genus Melogale Saint-Hilaire, 1831 (イタチアナグマ:ferret-badgers)

 日本産の「アナクマ」は「メレス属[Meles]」に属し,「タイリクアナグマ[Meles meles meles (Linnaeus, 1758)]」の亜種「ニホンアナグマ[Meles meles anakuma Temminck, 1844]」とされる場合と,同属別種とされる場合があるようです.遺伝子的にはどうなんでしょうかね.
 なお,上記の通り,英語の「badger」は異なる属にも使われており,「badger」を「アナグマ」と訳すことには違和感があります.Arctonyxの“和名”も,“和名”とはいいながら,単に英名の直訳に過ぎません.生息地は東南アジアなのですから,現地名を使用すべきと思いますね.「ブタアナグマ」は無神経すぎますね.
 それは Melogale についても,まったく同じです.使用する名前は現地名を探索すべきで,「イタチアナグマ」は無神経すぎます.

 また,「アナグマ」は,欧米人にとっては「Old World badger」でもいいのでしょうが,非-欧米人にとっては「Old World」-「New world」は不快な言葉です.この語の使用は人種差別の臭いがプンプンするのにもかかわらず,平気であちこちに使われているのが不思議です.
 さらに,Meles meles meles (Linnaeus, 1758)の英名も,「Europian badger」であり,ヨーロッパ人がそう呼ぶのはかってですが,シベリアを除くアジア大陸のほぼ全域に生息してるのですから,「Asian badger」であるべきですね(シベリアも歴史経過を考えればロシアのものじゃあないです).百歩譲っても,「Eurasian badger」でしょうね(漢字圏で使うときには「亞細亞大陸産」を主張しましょう;こういう無神経な差別用語の使用が無くなるまでは…).


●スカンク科[family MEPHITIDAE Bonaparte, 1845]
 スカンク科には,絶滅種を除くと,四属が入れられています.

family MEPHITIDAE Bonaparte, 1845(スカンク科)
├ 絶滅属を省略
├ genus Mydaus Cuvier, 1821 (スカンクアナグマ属:Stink badger)
├ genus Spilogale Gray, 1865 (マダラスカンク属:Spotted Skunk)
├ genus Mephitis Saint-Hilaire et Cuvier, 1795 (スカンク属:Skunk)
└ genus Conepatus Gray, 1837 (ブタバナスカンク属:Hog-nose Skunk)

 このうち,「スカンクアナグマ属(酷い命名!)[genus Mydaus]」はイタチ科アナグマ亜科に入れられている場合もあるようです.
 “和名”は酷すぎて,触れる気もおきません((- -;).
 日本にはいない動物たちですから,放っておきますか.


●アライグマ科[family PROCYONIDAE (Gray, 1825) Bonaparte, 1850]
 アライグマ科には,ゴミ捨て場的にいろんな動物が含まれているような気配があります.とくに,南アジアの山岳地帯を住処にしているグループは,発見が遅かったものが多く,そう感じるのかもしれません.どれも,日本には生息していない種であることもあるのでしょう.

family PROCYONIDAE (Gray, 1825) Bonaparte, 1850
├ PROCYONIDAE subfamily incertae sedis (アライグマ科所属位置不詳)
├ subfamily BASSARISCINAE (Gray, 1869) Pocock, 1921(カコミスル,オリンゴ,キンカジュー)
├ subfamily PROCYONINAE (Gray, 1825) Gill, 1872(ハナグマ,アライグマ,ヤマハナグマ)
├ subfamily †SIMOCYONINAE (Dawkins, 1868) Zittel, 1893(絶滅グループ)
└ subfamily AILURINAE (Gray, 1843) Trouessart, 1885(レッドパンダ)

 アライグマ亜科[subfamily PROCYONINAE]は,南米-北米の熱帯から温帯までの広い範囲に分布し,北米ではカナダ南部まで達しています.アライグマは世界各地に移入され,とくに日本では爆発的に増えていますね.
 バッサリスクス亜科[subfamily BASSARISCINAE]も,中南米を中心に広い範囲に分布しています.
 一方で,残りのアライグマ科のメンバーであるレッドパンダ[Ailurus fulgens Cuvier, 1825]は,南アジアの山岳地帯のみに生き延びています.アライグマ科でひとくくりにするのは,なんか違和感があります.

 「レッドパンダ」は,日本では「レッサーパンダ」と呼ばれています.
 英語の「レッサー[lesser]」には,「小さい」という意味と同時に「劣るもの」という意味がつよくあり,英語圏では「レッドパンダ[Red Panda]」が使用されるようになってきているそうです.
 日本人は結構無神経? 
 そういえば,いわゆる和名でも,小さくてカワイければ「ヒメ~」とよばれ,カワイくなければ「チビ~」と無神経に呼び分けられていますね.
 ある生物学者がいってましたが,カワイかったり,キレイだったりすれば,すでに国内では絶滅しているのにもかかわらず,海外から輸入してでも,膨大な予算をかけて復活劇を演じますが,彼らが喰うカエルやイモリは絶滅が心配されていても,誰も見向きもしないんだそうです.
 カワイくないのでね.

 そういえば,移入種は,カワイくなかったり,繁殖力が旺盛だったりすれば,「遺伝子汚染」とも呼ばれてますね.「自然保護」やら「野生生物保護」という標語に,素直に賛成できない理由の一つですね.あいまいな,人間の価値判断基準が,優劣の無いはずの野生生物たちの運命の明暗を分けているような気がするからです.
 アライグマだって,カワイいと思われたから輸入されたのに,思いのほか,頑固で気の荒いヤツだったので,「害獣」に落とされてしまいました.すべて,人間の側の都合ですね….

 「パンダ」は,もともと,「レッドパンダ」のことを示すネパール語だったそうです.
 のちに,いわゆる「(ジャイアント)パンダ」が発見されて,元々のパンダは「レッサー~」をつけられるようになってしまいました.そのうち,「パンダ」といえば,「G-パンダ」を示すことになってしまい,元々のパンダは忘れ去られてしまいました.G-パンダよりカワイくなかったのでね.
 原産地のパンダ外交があまりにも露骨だったからかどうかわかりませんが,分家パンダ熱が少し冷めたら,本家パンダのカワイさが再評価されるようになってきました.
 それまで,片隅の小屋に閉じ込められてた本家パンダは,少しいい部屋に移動しましたね.
 それでも,まだ,日本ではいまだに「劣る-パンダ」と呼ばれています.カワイそ.


 バッサリスクス亜科の「カコミスル[cacomistle]」や「オリンゴ[olingo]」は,現地語のようですね.いい傾向だと思います.
 ところが,同亜科の「キンカジュー」は,北米原住民の「クズリ」を示す言葉をフランス人が勘違いして,「キンカジュー[quincajou]」(仏語)と呼び,それを英語化して「キンカジュー[kinkajou]」となったという説があります.あるTV番組のテロップで「金華獣」とかでてたので,てっきりアジア産の生物かと思っていたら,まったく違いました.マスコミももう少し考えてほしいよね.
 ちなみに,キンカジューは中南米の熱帯産の動物です.現地ではなんと呼ばれているのか,知りたいところですね.

 

2009年10月9日金曜日

辞書の展開(18)

 
 このシリーズ,予想外に長くなりすぎて,何をやってるのかだんだんわからなくなってきました.ついでに,このシリーズ,かなり飽きてきました((^^;).
 一方で,「生命潮流」というのは,簡単には把握できないほど,膨大なモンだということが実感できてます.ものすごく,おおざっぱにやってるのに,まだ現生種のほとんどのグループの,その概略さえ把握できてません.もっともっと,おおざっぱにやる必要がありそうです.

 なお,今,三中信宏の「分類思考の世界」を読んでいます.
 この人は幸せな人ですね.
 こんなことを考えながら,それを仕事として一生暮らせるんですからね.文章は,グールド並みにうまいですが,グールド並みに回りくどいのも同じです.
 よく読むと,意味ないことを書いて,結論もない.なにかを伝えたいという気持ちもあまりないようで(本当は,読書量が多すぎて,引き出しが多すぎて,饒舌すぎて,何が言いたいのかよくわからないようになってるんでしょう),これで(この本を書くことで)小遣い稼ぎができてるなら,本当に幸せな人ですね(原稿料というのは,確か1文字/円なので,意味があろうがなかろうが,文字数が多ければ儲けられると,筒井康隆が書いてましたね).

 たとえば,冒頭に「日本最低の山と日本最短の川」の話題が出てきますが,(作者は)問題自体が設定できないことをご存じで,(ある意味,読者をバカにして)この話題を選んでいるのでしょう.
 「山は高い」から山で,「川は性質上分枝しているのが普通だ」から川です.
 (高さ自体を問題にすれば)一番低い山は,日本海溝のどこかにあるというのが正解.
 川は人間の都合で複合体とみなされてますが,本質は「合流して流れるひとつの水のかたまり」で,適当にどこかを切って,その支流(や部分)に名前をつけたって,それは(人間の都合であって)「川」ではないですね.
 こんな話題なら,いくらでもできる.
 「一番赤くない赤」はどんな「赤」とか,「空の一番高いところはどこ」とか….一番浅い海はどことかね.

 たぶん,読み進めていけば,「種の定義は困難である(にもかかわらず,人間はそれをやる)」という話なんでしょうけど,もっと簡単にかけんのかね.

 化石をやってる立場からは,「種の定義」は簡単.
 形を言葉で定義できて,決まった地層から産出すれば,それでOK!.
 極端な言い方をすれば,それは「生物でなく」たってかまわない.「リアルに使えれ」ばそれでいいわけです.

 現世・生物学者のこんな作業は「言葉の遊び」にしか,思えないですね.それはそれで,面白い部分もあるんですが….
 言葉の遊びではなくリアルな部分では,ここで苦労しているとおり,現実に(存在して)生きている生物の分類もろくにできていない.分類学者はみな,その看板を下ろしてほしいと思うものです.
 ただ,もう,分類学者そのものが絶滅寸前だという話をどこかでみましたが….


 さて,それでは,クマ上科の姉妹群である「アザラシ上科」について見てみますか.

●アザラシ上科[superfamily PHOCOIDEA (Gray, 1821) Smirnov, 1908]

 ここで何に苦労していたかというと,分類体系そのものより,学名-英名(もしくは現地名)-和名(和訳名もしくは俗名)の混乱です.食肉目に“ネコ目”という和名を与えるのは論外ですが,そうでなくても,むちゃくちゃな“和名”-俗名が氾濫しています.
 「学名」-「学名の和訳」-「和名」-「俗名」が渾然として使われているのが実態のようです.

 そうでなくても,(とくに日本語の現地名をもたない生物の)“和名”には,差別用語や不快語が蔓延しているのが実態ですし,言葉として実用的でなかったりするものも,ずいぶんあります.
 そういうのは,勝手に整理させていただきました(今回は,それだけで終わりそう(^^;).

 まずは,科レベルのおおざっぱな体系から….

superfamily PHOCOIDEA (Gray, 1821) Smirnov, 1908(アザラシ上科)
├ PHOCOIDEA incerate sedis
├ family OTARIIDAE (Gray, 1825) Gill, 1866 (オータリア科)
└ family PHOCIDAE (Gray, 1821) Gray, 1825 (アザラシ科)

         from The Taxonomicon

 superfamily PHOCOIDEA(アザラシ上科)はに,三つのグループに大別されています.
 一つ目は,PHOCOIDEA incerate sedis=分類不詳のグループ(寄せ集め)ですが,これはすべて絶滅種なので省略します.簡単に言えば,後の二つの分類を成立させるために,余分なものを排除したと考えればいいでしょう.
 そこで,残りの二つは,family OTARIIDAEとfamily PHOCIDAEです.


 family OTARIIDAEは,“アシカ科”という訳が“普通に”使われているようですが,アシカとオータリアは別な生き物のグループで,ここではオータリアが代表名として使われていますので,「オータリア科」を使わせていただきます.

family OTARIIDAE (Gray, 1825) Gill, 1866 (オータリア科)
├ subfamily incertae sedis
├ subfamily ARCTOCEPHALINAE (Gray, 1837) von Boetticher, 1934(オットセイ亜科)
└ subfamily OTARIINAE (Gray, 1825) Mitchell, 1968(オータリア亜科)

 子供のころ,アシカ(と,習った生き物)のことを,いつのまにか「オタリア」と呼ぶ人が増えていたので不思議に思いました.(その後,いい加減に過ごしていたのですが,)今回調べてみてやっと納得できました(遅い!(^^;).

 アシカは実は日本語.
 「葦鹿」がその語源だとされています.つまり,葦が生えているようなところにいる鹿(シカ)ということらしいです.
 俗名アシカに対応する学名はZalophus japonicus (Peters, 1866)なんですが,これは1950年代ころに絶滅したと考えられています.従って,私が見たことのある(アシカだといわれて,そう思っていた)生き物は,北米沿岸産のZalophus californianus (Lesson, 1828)か,南米沿岸産のOtaria byronia (De Blainville, 1820) のどちらか.つまり,輸入物ですね.
 Z. japonicusZ. californianusは同一種(つまり,japonicuscalifornianusのシノニム)だとされるのが一般的ですが,絶滅した今となってはどうでもいいようなものですね.つまり,日本人がアシカだと思ってきたものは(元種が絶滅したこともあり)一つの種(もしくは亜種,もしくはシノニム)ではなく,ああいう形をした生き物全体をイメージする言葉に変わりつつあったわけです.
 だからといって,オータリアから由来している学名の和訳を,アシカとしていいということにはなりませんね.全然別なものと判断されてるわけですから.
 ま,なおらんでしょうけど((^^;).

 一方で,「オットセイ」という日本語もあります.
 語源は,アイヌ語であるとも,それから漢字化した中国語であるともいわれています.
 このオットセイに対応する学名はCallorhinus ursinus (Linnaeus, 1758)です.
 松浦武四郎が蝦夷地を探検したころには,よく見られたもののようで,記録に残っていますが,現在では千島列島沿いに,希に日本にやってくる程度のものらしいですね.



 The Taxonomiconの分類では,このオットセイはオータリア科・亜科分類不詳に入ります.

family OTARIIDAE
├ OTARIIDAE incertae sedis
│ └ Callorhinus ursinus (Linnaeus, 1758)
├ subfamily ARCTOCEPHALINAE
│ └ genus Arctocephalus Saint-Hilaire et Cuvier, 1826
└ subfamily OTARIINAE
  └ genus Otaria Pe’ron, 1816
            (話に無関係な部分は省略してある)

 これ(亜科分類不詳グループ)は,オータリア科の中で,アルクトケプァルス亜科[subfamily ARCTOCEPHALINAE]とオータリア亜科[subfamily OTARIINAE]を成立させるための方便と考えるとわかりやすいでしょう.
 つまり,オットセイ[Callorhinus ursinus]とアルクトケプァルス[Arctocephalus]はまったく別の分類群(亜科レベルで異なる)とされているわけですね.ところが困ったことに,日本の分類学者はこのオットセイに“キタオットセイ”の和名を,アルクトケプァルスには“ミナミオットセイ”の和名を与えています.
 なぜ,こんな名称を与えたのか,よくわかりませんが,たぶん,これは「英名」からきているのだと思われます.英語圏の人間はこの両方に毛皮海獣[fur seal]と呼んでいます.北半球にいるから北毛皮海獣[northern fur seals],南半球にいるから南毛皮海獣[southern fur seals]というわけですね.英語圏の人間の海獣に対する価値観は放っておくとして,これをキタオットセイとミナミオットセイに和訳したのは恥ずかしいですね.この「英名」は通常の「名前」ではなく,生息地に住む現地の人の「呼び名」でもなく,利用するためダケの単なる「符丁」ですから,参考にする必要はまったくなかったのです.
 Callorhinus ursinusは,日本古来の呼び方を重視し「オットセイ」とし,Arctocephalus属は日本にはいないので名前がなかったのですから,そのまま「アルクトケプァルス」と名付ければ良かったのです.あるいは模式種の生存地域の現地名を採用するべきでした.
 
 なお,subfamily OTARIINAE (Gray, 1825)は,五つの属に分けられ,それらはどれも一属一種です.なにか,とても不自然ですね.“和名”も属レベルで異なるとされているのに,(つまりアシカではないものにも)○○○アシカと振られていて,これまた不自然です.
 たぶん,全体で一属五種ぐらいなんだと思いますが,DNA的にはどうなのか,論文を見てみたいところです.

subfamily OTARIINAE (Gray, 1825) Mitchell, 1968
├ genus Eumetopias Gill, 1866 (エウメトピアス属)
│ └ Eumetopias jubatus (Schreber, 1776) (トド:Steller sea lion)
├ genus Otaria Pe’ron, 1816 (オータリア属)
│ └ Otaria byronia (De Blainville, 1820) Peters, 1866 (オータリア:South American sea lion)
├ genus Zalophus Gill, 1866(ザロプゥス属)
│ └ Zalophus californianus (Lesson, 1828) (カリフォルニアアシカ:California sea lion)
├ genus Neophoca Gray, 1866 (ネオプォーカ属)
│ └ Neophoca cinerea (Péron, 1816) (オーストラリアアシカ: Australian sea lion)
└ genus Phocarctos (Peters, 1866)
  └ Phocarctos hookeri (Gray, 1844) (ニュージーランドアシカ: Hooker’s sea lion, New Zealand sealion)


 さて,オータリア科の姉妹群であるアザラシ科[family PHOCIDAE (Gray, 1821)]について,見てみましょう.
 アザラシ科はオドベヌス亜科[subfamily ODOBENINAE (Allen, 1880)]とプォーカ亜科[subfamily PHOCINAE (Gray, 1821)]に分けられています.
 ここで,オドベヌス属は絶滅種を除いた現生種は一種だけです.それは日本名「セイウチ」のことですので,オドベヌス亜科は「セイウチ亜科」と訳して問題ないでしょう.
 また,この亜科内では,その他の分類群もすべて絶滅種からなっており,アザラシ科の中では,セイウチはかなり特殊な生き残りということになりそうです.

family PHOCIDAE (Gray, 1821) Gray, 1825 (アザラシ科)
├ subfamily ODOBENINAE (Allen, 1880) Mitchell, 1968(セイウチ亜科)
│ ├ ODOBENINAE incertae sedis
│ ├ tribe †DESMATOPHOCINI (Hay, 1930) Tedford, 1997
│ └ tribe ODOBENINI (Allen, 1880) Deme're', 1994(セイウチ族)
│   ├ subtribe incertae sedis
│   ├ subtribe ODOBENINA (Allen, 1880) Tedford, 1997(セイウチ亜族)
│   └ subtribe †DUSIGNATHINA (Mitchell, 1968) Tedford, 1997
└ subfamily PHOCINAE (Gray, 1821) Gill, 1866 (アザラシ亜科)
  ├ PHOCINAE incertae sedis
  ├ tribe PHOCINI (Gray, 1821) Chapski, 1955(アザラシ族)
  └ tribe MONACHINI (Gray, 1869) Scheffer, 1958(モナクス族)
    ├ subtribe MONACHINA (Gray, 1869) Tedford, 1997(モナクス亜族)
    └ subtribe LOBODONTINA (Gray, 1869) Tedford, 1997(ロボドン亜族)
 
 一方のプォーカ亜科も,アザラシ亜科と訳して良さそうですが,困ったことに,上位分類群の名称の元になっているプォーカ属自体は“ゴマフアザラシ属”と訳されていることが多いようです.統一してほしいものです.
 Phoca属の模式種は,ゴマフアザラシと呼ばれているPhoca largha Pallas, 1811ではなく,ゼニガタアザラシであるPhoca vitulina Linnaeus, 1758とされていますので,やるのなら「ゼニガタアザラシ属」であるべきです(上位分類群もゼニガタアザラシの名を冠するべき).まったく不自然ですね.

 以下,プォーカ亜科はアザラシ亜科と訳す前提で話を進めます.
 アザラシ亜科は,三つに分けられてます.

subfamily PHOCINAE (Gray, 1821) Gill, 1866 (アザラシ亜科)
├ PHOCINAE incertae sedis
├ tribe PHOCINI (Gray, 1821) Chapski, 1955(アザラシ族)
└ tribe MONACHINI (Gray, 1869) Scheffer, 1958(モナクス族)

 例によって,最初にアザラシ亜科所属位置不明がきます.これはアザラシ族とモナクス族を成立させるための方便ですね.これ(所属位置不明)には,二属の絶滅種が含まれています.が,絶滅種ですので略します.
 アザラシ族には,七属の絶滅グループと4属10種の現生種が含まれています.現生種だけを取り出しますと…,

tribe PHOCINI (Gray, 1821) Chapski, 1955(アザラシ族)

├ genus Phoca Linnaeus, 1758 (アザラシ属)
│ ├ Phoca groenlandica Erxleben, 1777 (タテゴトアザラシ: harp seal)
│ ├ Phoca hispida Schreber, [1775] (ワモンアザラシ: ringed seal)
│ ├ Phoca sibirica Gmelin, in Linnaeus, 1788 (バイカルアザラシ:Baikal seal)
│ ├ Phoca caspica Gmelin, in Linnaeus, 1788 (カスピカイアザラシ:Caspian seal)
│ ├ Phoca largha Pallas, 1811 (ゴマフアザラシ:Larga seal)
│ ├ Phoca vitulina Linnaeus, 1758 (ゼニガタアザラシ:common seal)
│ └ Phoca fasciata Zimmermann, 1783(クラカケアザラシ:ribbon seal)

├ genus Erignathus Gill, 1866 (“アゴヒゲアザラシ“属)
│ └ Erignathus barbatus (Erxleben, 1777) (アゴヒゲアザラシ:bearded seal)
├ genus Halichoerus Nilsson, 1820 (ハイイロアザラシ属)
│ └ Halichoerus grypus (Fabricius, 1791) (ハイイロアザラシ:gray seal)
└ genus Cystophora Nilsson, 1820 (ズキンアザラシ属: hooded seal)
  └ Cystophora cristata (Erxleben, 1777) (ズキンアザラシ:hooded seal)

 なにか,アザラシ属とその他の属では非常にアンバランスな感じがしますが,Bininda-Emonds et al. (1999)などによれば,大まかには支持されているようです.ただし,Bininda-Emondsらが示した図からいえば,これら全体がgenus Phocaでかまわないし,残り三属を成立させるのならば,Phoca fasciata Zimmermann, Phoca groenlandica Erxlebenは別な属にしないと調和がとれないように思われます.
 ま,遺伝子分析はやればやるほどとんでもない結果(過去の分類と不調和な結果)がでるようなので,こういう分析結果が安定するまで何ともいえないんでしょうけど.



 なお,アザラシ類の“和名”についてですが,日本語の「あざらし」は「あざ(=痣)ら(=之)し(=獣)」というというのが語源らしく,アザラシとは斑紋があるものを指していたようです.
 また,「海豹」(あざらし;かいひょう)や「水豹」(すいひょう)という言い方は,「豹」のような斑紋のある動物を意味し,こちらも同様です.
 そういう意味では,斑紋のないプォーカを「アザラシ」もしくは「海豹」,「水豹」と呼ぶのはおかしいですし,一方で,「ワモンアザラシ」,「ゴマフアザラシ」,「ゼニガタアザラシ」は「斑紋」のことを二重に表現しているので,ちょっと恥ずかしい命名ということになりそうです.
 うまく,整理してほしいものですね.


 次は,アザラシ族の姉妹群であるtribe MONACHINI (Gray, 1869)です.
 MONACHINIは,模式属であるgenus Monachus Flemingがモンクアザラシと訳されているために,通常はモンクアザラシ族と訳されます.モンクアザラシは英名のmonk sealのカタカナ化したものですね.
 tribe PHOCINIが「アザラシ族」という名称を使っているので,MONACHINIの構成員に“~アザラシ”という訳語を使うのは,混乱を招くばかりと思われますが,ほとんどにそういう俗名がつけられています.
 要するに,アザラシじゃあないのに,アザラシと名付けられているということです.

 たぶん,シール[seal]という英語(元は英語ではないようです:しかも,単に「体を引きずる生き物」という意味らしい)を「アザラシ」と訳したことから始まる混乱でしょう.あまり使いたくありませんね.そこで,学名をカタカナ化したモナクス族を使わせていただきます.
 ほかにも,カニを食べる習性が確認されていない(実際に食べないらしい)のに“カニクイアザラシ”と呼ばれていたり,この仲間の名前の和訳は無造作すぎますね.だいたいが,日本近海にはいない生き物ですし,混乱を招く英名からの翻訳を止めて,学名を基本とした名称に修正すべきだと思います.
 めんどくさい(なんかむかつく)ので,以下に,モナクス族の現生種のみを抜き出した分類を示して終わりにします.

tribe MONACHINI (Gray, 1869) Scheffer, 1958(モナクス族)
├ subtribe MONACHINA (Gray, 1869) Tedford, 1997
│ ├ genus Mirounga Gray, 1827 (ゾウアザラシ属:elephant-seals)
│ │ ├ Mirounga angustirostris (Gill, 1866) - northern elephant-seal
│ │ └ Mirounga leonina (Linnaeus, 1758) - southern elephant-seal
│ └ genus Monachus Fleming, 1822 (モナクス属,モンクアザラシ属)
│   ├ Monachus schauinslandi Matschie, 1905 - Hawaiian monk seal
│   ├ ‡Monachus tropicalis (Gray, 1850) - Caribbean monk seal
│   └ Monachus monachus (Hermann, 1779) - Mediterranean monk seal
└ subtribe LOBODONTINA (Gray, 1869) Tedford, 1997
  ├ genus Ommatophoca Gray, 1844 (オッマトプォーカ属)
  │ └ Ommatophoca rossii Gray, 1844 (ロスアザラシ:Ross seal)
  ├ genus Lobodon Gray, 1844 (ロボドン属)
  │ └ Lobodon carcinophagus (Hombron et Jacquinot, 1842) (ロボドン: カニクイアザラシ:crabeater seal)
  ├ genus Hydrurga Gistel, 1848 (ヒュドゥルルガ属)
  │ └ Hydrurga leptonyx (Blainville, 1820) (ヒョウアザラシ:leopard-seal)
  └ genus Leptonychotes Gill, 1872 (レプトオニュコテース属)
    └ Leptonychotes weddellii (Lesson, 1826) (ウエッデルアザラシ:Weddell seal)




*Bininda-Emonds, O. R. P., Gittleman, J. L. and Purvis, A., 1999, Building large trees by combining phylogenetic information: a complete phylogeny of the extant Carnivora (Mammalia), Biol. Rev., vol. 74, pp. 143-175.