2009年8月23日日曜日

辞書の展開(13)

 
●猫形獣亜目[suborder FELIFORMIA]
 さて,猫形獣亜目[suborder FELIFORMIA]は以下のように並べられています.

suborder FELIFORMIA Kretzoi, 1945(猫形獣亜目)
├ family incertae sedis
├ family †VIVERRAVIDAE Wortman & Matthew, 1899 (ウィウェーラウス科)
├ family †NIMRAVIDAE Cope, 1880 (ニムラウス科)
├ family FELIDAE (Fischer de Waldheim, 1817) Gray, 1821 (ネコ科)
├ family VIVERRIDAE (Gray, 1821) Bonaparte, 1845 (ジャコウネコ科)
├ family HERPESTIDAE (Bonaparte, 1845) Gray, 1869 (マングース科)
├ family HYAENIDAE (Gray, 1821) Gray, 1869 (ハイエナ科)
└ family NANDINIIDAE Pocock, 1929 (ナンディニア科,キノボリジャコウネコ科)
           from “The Taxonomicon

 これらはいずれも,旧体系でもネコ上科[FELOIDEA or AELUROIDEA]に分類されていたものです.科の定義については,クラディズム以後も再定義された様子がないので,これらのこれより細部については,またの機会に.

 細かいことですが…,以下.
 NANDINIIDAEはあまり聞かない分類群ですが,「キノボリジャコウネコ科」という名前が与えられてますね.これを構成している生物は一属一種のみ.

family NANDINIIDAE Pocock, 1929
 genus Nandinia Gray, 1843
  Nandinia binotata (Gray, 1830) - African palm civet

 これには「キノボリジャコウネコ」という和名が与えられています.
 この種は,以前には他のジャコウネコ類と一緒に「ジャコウネコ科[VIVERRIDAE Gray, 1821]」に入れられているのが普通でした.(たぶん)それで,つけられた“和名”が「キノボリジャコウネコ」.
 新体系では独立して別の科となり,ジャコウネコではないのにジャコウネコの名が残ってしまいました.
 不自然になってしまいましたね.

 下手な命名はしない方がいいという例になってしまいそうですねえ.英名も相当混乱があるので,参考にはしない方がいいですね.type loc.の現地語か学名をそのまま使うのがよろしいかと.
 現地の言葉が不明なので,ここでは,勝手に「ナンディニア科」と呼ばせていただきます.

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